無理に売るな。客の好むものも売るな。客の為になるものを売れ。

Panasonicの方とお話していて「無理に売るな。客の好むものも売るな。客の為になるものを売れ。」という松下幸之助の言葉を知った。


世界最強のシード・アクセラレーター、Y Combinatorが"Make Something People Want"と言い続けているけれど、通じるものがある。



「無理に売るな。客の好むものも売るな。客の為になるものを売れ。」



これは松下幸之助による「商売戦術30箇条」にある言葉で、松下電器の連盟店に向けたメッセージだった。

商売戦術30箇条
 第1条 商売は世の為人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり。
 第2条 お客様をじろじろ見るべからず。うるさくつきまとうべからず。
 第3条 店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何。
 第4条 棚立上手は商売下手。小さい店でゴタゴタしている方却ってよい場合あり。
 第5条 取引先は皆親類にせよ。之に同情をもって貰うか否か店の興廃の岐(わか)るるところ。
 第6条 売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永久の客を作る。
 第7条 お客様の小言は神の声と思って何事も喜んで受け入れよ。
 第8条 資金の少なきを憂うる勿(なか)れ。信用の足らざるを憂うべし。
 第9条 仕入は簡単にせよ。安心して出来る簡単な仕入は繁昌の因(もと)と知るべし。
 第10条 100円のお客様よりは1円のお客様が店を繁昌させる基と知るべし。
 第11条 無理に売るな。客の好むものも売るな。客の為になるものを売れ。
 第12条 資金の回転を多くせよ。100円の資本も10回廻せば1000円となる。
 第13条 品物の取り換えや返品に来られた場合は、売った時よりも一層気持ちよく接せよ。
 第14条 お客の前で店員小僧をしかるくらいお客を追い払う妙手段はない。
 第15条 良き品を売ることは善なり。良き品を広告して多く売ることは更に善なり。
 第16条 自分の行う販売がなければ社会は運転しないという自信を持て。そしてそれだけに大いなる責任を感ぜよ。
 第17条 仕入先に親切にせよ。そして正当な要求は遠慮なく言え。
 第18条 紙1枚でも景品はお客を喜ばせるものだ。付けてあげるもののない時は笑顔を景品にせよ。
 第19条 店のために働くことが同時に店員のためになるよう、待遇その他、適当の方法を講ずべし。
 第20条 絶えず美しい陳列でお客の足を集めることも1案。
 第21条 紙1枚でも無駄にすることはそれだけ商品の値段を高くする。
 第22条 品切は店の不注意、お詫びして後「早速取寄せてお届けします」とお客の住所を伺うべきである。
 第23条 正札を守れ! 値引は却って気持を悪くするくらいが落ちだ。
 第24条 子供は福の神──子供連のお客、子供が使いに来ての買物には特に注意せよ。
 第25条 常に考えよ、今日の損益を。今日の損益を明らかにしないでは寝に就かぬ習慣にせよ。
 第26条 「あの店の品だから」と信用し、誇りにされるようになれ。
 第27条 御用聞きは何か1〜2の品物なり、商品の広告ビラなり持って歩け。
 第28条 店先を賑やかにせよ、元気よく立ち働け、活気ある店に客集る。
 第29条 毎日の新聞の広告は一通り目を通しておけ。注文されて知らぬようでは商人の恥と知るべし。
 第30条 商人には好況不況はない、何れにしても儲けねばならぬ。

松下幸之助と社員研修の総合サイト PHPビデオアーカイブズプラス より)


この30箇条のうち、実は10個は引用元がある。
以下の10箇条だ。

 第1条 商売は世の為人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり。
 第3条 店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何。
 第6条 売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永久の客を作る。
 第8条 資金の少なきを憂うる勿(なか)れ。信用の足らざるを憂うべし。
 第11条 無理に売るな。客の好むものも売るな。客の為になるものを売れ。
 第15条 良き品を売ることは善なり。良き品を広告して多く売ることは更に善なり。
 第18条 紙1枚でも景品はお客を喜ばせるものだ。付けてあげるもののない時は笑顔を景品にせよ。
 第23条 正札を守れ! 値引は却って気持を悪くするくらいが落ちだ。
 第25条 常に考えよ、今日の損益を。今日の損益を明らかにしないでは寝に就かぬ習慣にせよ。
 第30条 商人には好況不況はない、何れにしても儲けねばならぬ。

近江商人の商売十訓」と言うそうで、ググるとこの10箇条を書いたブログなどが出てくる。
ただ出典まで辿れなかったので、本当に近江商人の間で言われていたのかは良く分からない。
文章もまったく同じなので、何だかむしろ「商売戦術30箇条」が元になっている気すらする。


ちなみに、その1。近江商人でもっと有名な「三方よし」(「売り手よし、買い手よし、世間よし」)も、どうやら中村治兵衛という人が書き残した家訓が由来のようだけれど、「戦後の研究者が分かりやすく標語化したものであり、昭和以前に「三方よし」という用語は存在しなかった」そうだ。
近江商人 - Wikipedia より)


ちなみに、その2。この中村治兵衛という人は、現在の東洋紡の前身となった金巾製織の創業者のひとりみたい。
金巾製織 - Wikipedia より)