信仰に基づく政治
ところが逆に、政治の世界ではそこまでシンプルな話はできない。
全員が笑って、笑顔で挨拶してるような国はちょっと不気味だ。
悲しい時だってあるし、笑えないような冗談がまかり通っちゃうのが世の中なのだから。
「自由の国」アメリカが、なんだかいつでも笑っていなきゃならないような、ちょっと息苦しいところへ向かいだして、けっこうな時間が経った。
ブッシュさんが「信仰に基づく政治」ってのを唱えて、わーって宗教右派が勢いづいた。
第58回の日米学生会議は、そんなアメリカを感じたいと思って、オクラホマを開催地のひとつに選んだんだったなぁ。
同性愛はダメに決まってるし、中絶なんてもってのほかだとその人たちは言う。
進化論なんて神さまに失礼な考え方は真っ赤なうそだって、心のそこから本気で考えてる。
そんな国の「権利章典」について書かれた本の、書評を読んで、ちょっと物思いにふける。
- 作者: エドウィン・S.ガウスタッド,Edwin S. Gaustad,大西直樹
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2007/04/21
- メディア: 単行本
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アメリカ合衆国憲法は、修正第一条の初めの部分で、「国教を樹立する法律もしくは自由な宗教活動を禁止する法律を制定してはならない」と規定している。
アメリカは、政教分離の国だ。
そのことを、その権利を、十か条の修正の、「権利章典」の第一として掲げるってことを、どれくらいの人が記憶しているのだろう。
イギリスで宗教弾圧にあって、海を越えて、原住民と争って、最強の国イギリスと戦争までして、それで勝ち取った、信仰の自由。
アメリカがかっこいいのは、それでプロテスタントの国をつくるのではなく、すべての人の信仰の自由を認めた国をつくったところ、そういう精神だったのに。
それを、公共性の精神を忘れて、かつてのイギリスと同じことを繰り返しちゃ、かっこわるいよなぁ。