シリコンバレーを作ろう

Magic formula
世界中で「第二のシリコンバレー」を生もうという試みがなされている。


スタンフォードバークレーを擁し、金融センター・サンフランシスコがその背後に構える。
無数の失敗例が積み重ねられる中、いかにシリコンバレーを生んだ素地が強靭かが証明されてきた。


entrepreneurialな都市を生むモデルとして、記事には以下の三つが挙げられていた。
the anchor-firm model
巨大企業が幹となり、枝のように派生的に周囲に会社が生まれていくモデル。
幹である企業が人材を育成し、スピンアウト・ベンチャーを生み出し、サプライヤーとして或はカスタマーとして新たな企業群を育てていく。
the driven-by-crisis model
既存のモデルが破綻する中で、人材が流動化し新たな産業に彼らが流れ込むことで新たな企業が生まれるモデル。
冷戦終了後、軍に勤めていた科学者が大量に失職した。彼らを飲み込みその才能を活かしたのは、Qualcommなどのベンチャー企業だった。
the local-hero model
一人のアントレプレナーが、一つの企業のみならず地場産業をまで生んでしまうモデル。
Medtronicはミネアポリスに医療器具関連産業を生み出し、世界最大の心臓ピースペーカーメーカーにまで成長した。


何れのモデルにも共通する条件は、以下の二つ。
a vibrant higher education system
産業の基盤は知識と人材であり、その潮流は加速し続けている。
openness to outsiders
移民は、既存の住民よりもよりentrepreneurialである。アメリカのinnovationの源泉は、常に移民であり続けてきた。


(参考:Give me your scientists… - Economics focus)


アントレプレナーたちは国境を越える。
グローバルな視野でリソースを確保し、ステークホルダーとコラボレートし、マーケットを掴む。
それでも、と記事はこう続ける。

The more globalised the world becomes, the more people look for comparative advantages that cannot easily be bought or replicated; and the more far-flung their business operations, the more entrepreneurs rely on bonds of trust with their fellow businessmen.


最後の最後に頼れるのは、信頼であり絆であり結束。
それを支える夢や、友情や、若気の至りや、そういう諸々を育む環境。それなしには強い企業は生まれない。
そういうことを忘れて「シリコンバレーみたいなやつ」を作ろうとすると、国立イノベーションインキュベーション何とかセンターと産官学協働何とかイニシアティブと産業クラスター何とか特区と政府債務だけが残って、何も生まれない、ってことになったりするのだな。