Schlep Blindness

さっき誰かのつぶやきを誰かがリツイートしていて、それで読んだ記事。

らいおんの隠れ家 : ポール・グレアム「面倒な仕事の無視」 - livedoor Blog(ブログ)

Y Combinatorのポール・グレアムの膨大なエッセイを訳し続けているブログの記事。


当たり前に皆が解決したいと思っているんだけど、ものすごく地味で面倒で煩雑そうな作業が山積していそうだから、頭のいい人は避けて通ってるところにしか、大きな問題解決とビジネスのチャンスはないですよ、って話。

だからY Combinatorに応募してくるようなギラギラした連中も、誰もが気づいている「便利な電子決済の仕組みの不在」からは目を背けて、レシピとか街のイベント情報をまとめるサービスとかを始めたい、ってなっちゃう。


レシピサイト(別にレシピサイトを批判しているわけではないんだけど)には、決済システム構築の裏に見え隠れする"Schlep"が 、自分たちとは考え方も世代も違うであろう銀行との気の遠くなるような交渉も、詐欺を防ぐための仕組みづくりも、ユーザーから山のように押し寄せるであろう問い合わせやクレームへの対応も、ないから。

成功する起業家にけっこう向こう見ずな若者が多いのは、それをすべて見通せないが故に、そして自分の成長の限界も見えていないが故に、そういう"Schlep"にもチャレンジ出来るんだ、って。


で、PGはこう言う。

私のお勧めのコツは、未来像から自分自身を抜くことだ。「私はどんな問題を解決すべきなんだ?」と考える代わりに、「誰かが解決してくれるなら、どんな問題を片づけて欲しい?」と考えるんだ。

課題が山積みで、しかもどれも「既得権益とのたたかい」とか「旧態依然とした体制への挑戦」とか、いかにも"Schlep"ばかりに見える日本社会の問題解決は、そういうチャンスの温床(いい意味で、ね)なんじゃないかな。

あとさ、よくfounderはエンジニアであるべきだ、って言うけど、「俺が"Schlep"は全部まとめて引き受ける」って仁王立ちするコードが書けないfounderは、大きな存在になりうるんだな、って思った。


じゃあお前はやくやれよ、と自分にも言い聞かせつつ、しばらくは這いつくばって力をためよう。


来週から一ヶ月、ニューヨークに行ってきます。
稼ぎつつ、最新のテクノロジーアントレプレナーシップの真っ只中に立つために、足場を作ってきます。

ER Acceleratorのファウンダーとか、NYC Investment FundのCEOとか、Welcome to NYCVC - The home of venture capital in New Yorkのパートナーとかと、アポが取れそうです。

安西先生には怒られそうだけど、「アメリカのスタートアップの空気」を吸い込んでこようと思ってます。
楽しみ。