バァちゃんの手紙とデッドエンドの思い出、そしていくつかのこと。

山形のバァちゃんから就職祝いと一緒に手紙が送られてきた。
バァちゃんの手紙は、バァちゃんの人柄がにじみ出てて読むといつもスッキリ気持ちいい。

今年の冬のおったまげたこと.
バァちゃん豪雪の新庄に嫁に来て56年、年今79才 雪降し一回もしないこと.
除雪もナシ
去年の今頃は何十万のお礼が飛んでいたのに、不思議な平成19年の冬です.
お年寄りにとっては大助かりといって居ります.

こんな感じ。

バァちゃんは、太っ腹のサバサババァちゃん。
それでいてキュート。

久しぶりに会いに行きたくなった。


バァちゃんに会いたくなったのは、よしもとばななの小説を読んだからってのもあるかも知れない。
ずっと読もうと思ってて、忘れてた一冊。

デッドエンドの思い出 (文春文庫)

デッドエンドの思い出 (文春文庫)

あとがきで、ばななさんはこんなことを言っている。

私はばかみたいで、この小説集に関しては泣かずにゲラを見ることができなかったですが、その涙は心の奥底のつらさをちょっと消してくれた気がします。皆様にもそうでありますよう、祈ります。
さらにばかみたいだけど、私はこの中の「デッドエンドの思い出」という小説が、これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。これが書けたので、小説家になってよかったと思いました。

これを、「これが書けたので、小説家になってよかったと思いました」ってのを、四年前の夏に見てから、読みたいと思ってたんだった。

よしもとばななの本は、小さな町のこじんまりした洋食屋さんの、先代の時からだいじに使いつづけてるチーク材のテーブルみたいな、じっくりじっくりつくったしあわせについて書かれている。

ひらがな多め。


ひらがなよりも漢字多めでいい味出してるのは、夏目漱石
ちっちゃい頃に『我輩は猫である』をゲラゲラ笑いながら読んだけど、やっぱ漱石ちゃんのセンスはたまらない。

中学ぐらいの時に国語の授業で読んだ、運慶のエピソードが忘れられなくて、こっちもずっと読もうと思ってた本。

文鳥・夢十夜 (新潮文庫)

文鳥・夢十夜 (新潮文庫)

文脈完全無視で、説明もナシで、「文鳥」のなかから好いとこをいくつか抜粋。

二十円に比べて安いのは無論である

三重吉は文鳥のためには中々強硬である

二三度試みた後、自分は気の毒になって、この芸だけは永久に断念してしまった。今の世にこんな事の出来るものがいるかどうだか疑わしい、恐らく古代の聖徒の仕事だろう。三重吉は嘘を吐いたに違いない

いやぁ、愛すべきだ。