まえがみでまえがみえない
- 作者: 金子勝,成毛真
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2002/12
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
山形に向かう列車のなかと、あとはばあちゃん家の縁側で景色を眺めながら読んだ本。
生きる価値とか、よき社会のビジョンをどういう原理で組み立てていくか。いずれにしろそれは政策と直結していなければ、本当の意味で、この閉塞感を打ち破ることにはなりません。そういう理念のレベルから考えなくてはいけない時代になっています
こういう時代に必要なのは、多くの人にとってチャレンジするに足る目標が現れること。こうしたら生きていける、というような目標ですね。もう一つは、先ほども言った、深い理念。先行き不透明な時代だからこそ、これから起こり得ることについて、どう対峙するかを考えてゆくことの出来る理念が必要になっています
地域の中でさまざまな社会活動が行われ、地域の住民が、複数の価値観を持って生きられるようにすることも大切です。そうすれば、さまざまなつながりが持てるようになって、たとえ何かで失敗しても、それだけでへこたれたりはしないでしょう
これからは企業の中だけで生きていくのではなく、地域コミュニティや、趣味・興味で結びついた人間関係など、多様な場で生きていくことが必要でしょうね。と同時に企業自身も、変わっていかなければならない。企業が成長するための条件も変わっていくでしょうし、それに伴い、社会の仕組みも変わっていかざるを得ない。つまり、これからの時代、企業組織はこう変わわなければならないというビジョンと同時に、社会はこう変わらなければならないというビジョンが必要なわけです。それが出てこないと、この閉塞感は打ち破れないと思う。「出口」は見えてこない。
産業革命を一大画期として、それ以降、激しく産業が入れ替わるようになり、悲惨な事例と成功例とが同時に起こるようになったわけですね。そうした中で、成功例がないまま、悲惨な事例が増えた時期は、たとえば第一次大戦前の大不況とか、第二次大戦前の大恐慌しかない。成毛さんがいまおっしゃったことは、そういうことでしょうか。それで言うなら、いま必要なのはやはり、どうすれば生きていけるのか、そのビジョンを示すことだと思うんです。ところがそれが見えてこない。
経営者に倫理感があるかどうか、独自の価値観を持っているかを見ればいいわけです。それで言うなら、キヤノンの御手洗さんもにしろイトーヨーカ堂の鈴木さんにしろ、どこか普通でないところがある。いや、真面目な話、お二人ともちょっと変わっています。