ポップコーン・ジャングルに囲まれて、今日もゲッコーは鳴くのだ

バチッ
バチバチ


音が響く。
一体何だろうと思っていたのだけど、どうやら家を取り囲むジャングルを構成する木から種が飛び出す音のようだということがわかった。


突然、その小さな破裂音と同時に窓から種が飛び込んで来たからだ。
何だか暗殺者に狙われる政治家の心持だ。
せっかく元気に飛び出したところ可哀想なので、拾ってジャングルに投げてやる。


バチッ
バチバチ


今日もジャングルはポップコーンを炒る。
そんなジャングルに囲まれて、俺はゆったりと元気に過ごしている。


自分で材料を買ってきて、自分で作ったソイ・ハニー・フレイバー(こうやってみると新発売のポテチの味付けみたいな名前だな)のチキンとトマトとバジルを煮込んだブランチを食べて、一日が始まる。


土曜の朝にウェストエンドのはずれに向かうと、そこでは朝市でたくさんの野菜をびっくりするくらい安く買うことが出来る。
キャベツにレタス、赤玉ねぎに、黄色いピーマン、マッシュルーム。
ちょっとづつ色鮮やかに、味わい深くなる俺の飯。


ハイゲート・ヒルからセント・ルシアまで毎日往復1時間歩く。
日本の7倍だという紫外線にさらされ、かなり日焼けしている。
たっぷりと泳ぎ、走り、アルティメットとテニスをする。


何かに飽きると、内田樹の文章を読む。
それにも飽きると、ブログを書く。
たまにこっちで買った携帯電話でラジオを聞く。


そんな風にして、今日もポップコーン・ジャングルに夕焼けと夜の闇が訪れる。
今夜も変わらず、南十字星とオリオンがくっきりと太古の光を届けてくれるはずだ。
ゲッコーが、部屋のどこかで鳴いている。