アラン・ドロンとモロッコの脱獄囚、或いはawesomeの効用について

どこかの現代美術館のスーベニールショップか何かで見つけて以来、我が家には「天才カレンダー」が飾ってある。
(現代美術館のスーベニールショップってなんで間違いなく楽しいんだろう)


365日、欠かさず、その日に生まれた天才を教えてくれる。
カラフルだけどシンプルで、気に入っている。毎日、かつてどこかで天才が生まれたんだ、と考えるのも悪くない。


ちなみに今日、11/8は、アラン・ドロンの誕生日。
Wikipediaのページには、こんなかっこいいエピソードが載ってる。

1987年、モロッコでの15年間の投獄の末、脱走したマリカ・ウフキル - Wikipediaは逃走中に自分達の事実を伝えるため政治家やアーティストに20通ばかりの手紙を送ったが、返事があったのはアラン・ドロンただ一人だった。モロッコと利害関係のあるアラン・ドロンは弁護士を通じて「政治的立場をとるつもりはないが、マリカ・ウフキル達に友情を伝えてくれと言い、物資面の援助や裁判費用も払う用意がある」と伝え、マリカ・ウフキルはこの厚意に心底感動したと語っている。

さすがイケメンは違う。


さて。新しい仕事をはじめてから、3ヶ月と少しが経った。
そう考えると、何だ、まだプロジェクトひとつ分かあ、って気にもなる。
でも、そうは思えないくらい、キツかった。その分、しっかり積み上がってきたものがある。
本業以外でも、いろんなことが動き出しつつある。面白い話も舞い込んできてる。


収入も激減した。心地よい環境にいる訳ではない。
スタートアップのメクルメク激動を経験したというよりは、じっと屈んで堪えるような3ヶ月だった。
本当に辛い時期もあった。それでも、心から飛び出してよかったと思える。


カラダとココロが、新しいチャレンジと更なる熱狂を求めてるのが分かる。
クールに、タフに、タイトに、したたかにやらなきゃ生き抜けないんだけど、何よりこの感覚がたまらない。


そういう感覚のカタマリみたいな街、というのが、僕の中でのシリコンバレーのイメージ。
今日は(また)そのシリコンバレーと日本の違い、みたいな話がけっこう耳に入ってきた。


Uber ファウンダー Travis Kalanick 驚異の失敗歴
今朝、この記事を読んだ。すげえなあ、と思った。
何度でも立ち上がる。信じがたい挫折を経験しても、諦めない。
裏切られても、ファイティング・ポーズを取り続ける。その末に勝ち取った桁の違う成功。


でも何より、「失敗」を披露して、そこから皆が学ぶ、なんてカンファレンスがあるってことに唸らされる。


その土台って何なんだろう、っていろんな人が考えている問いだと思うのだけど。
友人も参加してるApache2 Ubuntu Default Page: It worksの感想をある人がブログで書いていた。
ガッチガチ→フニャフニャ #tofuproject|ニッチをねらえ!金具の花道 女性社長ブログ


これを読んで、そうだよなあ、案外、小さなことが大事なのかなあ、と思ったのです。
とにかく新たなチャレンジに対して"awesome!"と賞賛するところから始める。
失敗は経験であり、成功のエッセンスである、と皆が思っている。


今日、いろんな人がリツイートしていたGREEの青柳さんの一連のつぶやきにあったみたいに、
もちろん、VCとかエンジェルの厚み、人材の獲得手法、ストック・オプションのあり方…
みたいな話もあるんだろうし、とっても重要な論点だと思う。


でもさ、やっぱり、何よりも、みんながワクワクしてるかどうか、ってのが最大の違いだと思うんだな。
その土台にあるのは、誰かが何かにチャレンジしようとしていたら、まず"awesome!"って言うからはじめてみる、みたいな小さなことなんじゃねえかなあ、って。
そんでもって「案外、失敗とかなんてことないかも、Travisの方が数倍やばかったべ」なんて言いながら、チャレンジしてみる。
それが連鎖して、うねりが生まれる。


ポール・グレアムさんが言うように、要するに、人、なんだ。
How to Be Silicon Valley*1


人、ってのは、つまりは僕であり君でありそこのおじさんやお姉さんのことなんだ。
僕であり君でありそこのおじさんやお姉さんが日々何を考えてどういう風に行動するのか、ってことなんだ。
だから、どこかでチャレンジしている人を見かけたら、アクションしている人の話を聞く機会があったら。


太陽がいっぱい』のラストシーンのアラン・ドロンばりの笑顔で、"awesome!"と言おうじゃありませんか。
そこから始めようじゃないですか。それなら、誰にでも、僕にでも、君にでも出来る。ありがとうアラン・ドロン

*1:ググったら、日本語に訳したバージョンもあった。読んだのはこっちだったかな… らいおんの隠れ家 : ポール・グレアム「シリコンバレーが出来るには」 - livedoor Blog(ブログ)