ウェスタン・シャツの効能


Home - LOWERCASE capitalChris Saccaが、こんなことを話していた。


Lowercaseのポートフォリオを見ると、錚々たる顔ぶれだ。FacebookTwitterKickstarterUber。既に売却済みの投資先は、InstagramにHeroku... 押しも押されもせぬ一流エンジェル・ファンドだ)

「僕がこの仕事を始めた時、カメラやライトの前に立って、あるいはTwitterで呟いて、とにかく衆目を集めるのが大事だと思っていた。でも、僕が目立ったことによってもたらされたのは、仕事に邪魔になるようなことばかりだった。とにかく全てのカンファレンス、パネルディスカッション、スピーチの機会を逃さないようにしていた。でも、それはディールフローの確保にも繋がらず、投資先のためにも、投資家のためにもならないってことに気づいたんだ。僕は実際、かなりきっちりと収益を生んだ投資の機会はどうやって生まれたのかを分析してみたことがある。その結果、今までの成功した投資は、ただのひとつだってウェブサイトの問い合わせ先メールアドレスや、カンファレンスの後で交わした握手や、そういったところからはやって来なかった。肝心なものは全部、信頼出来る人からの紹介が入り口だったんだ」


だから彼は、自分の信頼する起業家や投資家との関係をより濃密に、強力にすることにほとんどの時間を使っているんだって。


そして「たしかにブランドが確立しちゃってれば、メディアに出るメリットはどんどん少なくなっていくよね」(つまり、そんな贅沢なことが言えるのは、あなたには既に強いブランドがあるからじゃないの?ってことだろう)と突っ込まれた彼は、こう答えた。

「そういう側面もあるかも知れない。でも、ブランドは、メディアに出ることでではなく、役に立つ存在だって知ってもらうことで生まれるんだ。それも、様々な相手にとって、ね。起業家たちにだけじゃない。例えば他の投資家にとって、あるいはメディアにとって、そして事業会社にとって」


飛び道具に頼っていても、たまたま獲物に命中したりはしない。メディアに出て、待っていても、本当に欲するものはあちらから飛び込んでは来ない。コツコツと、自分が信頼する人の、役に立つこと。その積み重ねの先に、ブランドがあり、投資機会があり、自分にしか出せないインパクトが顔を出す。


当たり前なんだけど、でも、シリコンバレーブイブイいわせてるエンジェルに言われると、やっぱり説得力があるよなあ。いつも変なウェスタン・シャツ着てるけど。