むしろ誇りとすべきであり、洗い場で行うべきである
どうでもいいんだけど、原宿にある渋谷区立中央図書館で見つけた『好色艶語辞典』が面白かった。
副題は「性語類聚抄」。その名の通り性に関わる言葉の辞典だ。
編著者の笹間良彦氏による、序文のなかの一節。
日本でこれだけ性語が作られたということは、考え様によっては日本人ほど性に対する情操が深い民族はいないということを示すもので、むしろ誇りとすべきであろう。
アツい。
笹間良彦さんは、武具甲冑と武家関係の研究者とのことだ。そのために膨大な書籍を読み込む内、こういった分野にも精通しちゃったみたい。
参考文献の数がすごいことになっている。古事記、日本書紀からはじまり、万葉集、伊勢物語、紫式部日記、源氏物語、枕草子、土佐日記、宇治拾遺物語、と学校で聞いたことのある文献がずらっと五・六百冊は並んでいる。
最初の項目は「阿」。阿吽の呼吸、の「阿」だ。
なんで「阿」が性語かというと「交合の呼吸も阿吽である」かららしい。
「交合において歓喜の絶頂は何事も考えず雑念のないところから、南北朝時代頃に大流行した立川流という密教の一派も、これを重んじ、男女交合の極地を悟りとした。」とか。
ちなみに最後に「外来語・現代語に現れた艶語類」という特集が組まれている。
「ユノナカセックス」の項目にあった一文を読んで、静かな図書館で笑いを堪えなければならなかった。
「これは感覚的には良いのであろうが、湯のために分泌液が洗い流され、血圧も亢進し、非常に疲れるから、血圧の高い人は注意を要する。また石鹸を使用したりすると肌を痛め消耗はなはだしい。
洗い場で行うべきである。」
さすがは武家の研究者である。