週末香港旅行メモ

金曜深夜発、日曜深夜着で香港に行って来た。
こんな弾丸の海外旅行は初めてだったけど、意外に行けちゃうものだ。
忘れないうちにメモをしておく。


さいきん、村上春樹旅行記を読んだら、とにかくキーワードをメモしておくことが秘訣だと言っていた。
(『辺境・近境』と『雨天炎天』の二冊を図書館で借りて読んだ。一緒に『国境の南、太陽の西』も改めて読んだ。)


写真を撮るよりも、自分のなかに風景を染みこませることに全力を傾ける。(たまにスケッチする)
そして、自分にとってのキーワードをメモしておく。
その上で、少しばかり時間が経ったあとで(たしか、2-3ヶ月後とかだったような)それを文章に落とす。
すると、ぐっと立ち上ってくる風景と、消え落ちる記憶がある。それが程よいフルイになる、と。


旅行記を書くことはないと思うけど、まあメモくらいしてもバチはあたらないだろう。


香港エクスプレス航空というLCCで行った
・国内便みたいな小さい機体で、もちろん飲み物もご飯も出ない
・でも、4時間くらいで着いちゃう。圧倒的に近い
・九龍側の尖沙咀にあるシティホテルに泊まり、マカオ香港島にも行った
・最大の目的はとにかく旨い飲茶を食べること


・とにかく人が多かった。人、人、人… それもほとんどが中国人だった。中国全土から人が押し寄せているのではなかろうか
・香港はずっと霞がかかっていた。そういう季節なのか、運が悪かったのか、はたまたあの悪名高きPM2.5なのかは定かでない
・シャネルの店はどこも列が出来ていた。信じがたいけど、必ず入店待ちの列があるのだ


・朝ごはんは外で食べるものらしく、週末なのに朝ごはんが出る店はどこも現地の人で満員だった。なぜか必ずミルクティーが出る
・ミルクティーは不思議な味がする。あれはなんだろう。濃い。いや、でも濃いだけじゃない。飲んだことのない味がする
・ちなみに、一方で、ホテルのアフタヌーンティーは観光客で満員。ペニンシュラなんて列が長すぎて気が遠くなりそうだった(諦めた)


・飲茶はマジで旨かった。特に蒸し飲茶がヤバい。何あれ。日本で食べる蒸し飲茶とは違う食べ物だった。旨すぎ
・特にリッツ・カールトンの中華料理屋の飲茶が抜群だった。一日目のランチは満員で入れず、予約の必要性を痛感
・店員の女の子が「ウチはミシュランで星ふたつなんだけど、フォーシーズンズには三つ星の中華があるよ。試してみて」って言ってた


マカオはとにかく圧倒的だった。すべてが規格外だった
・理解不能な趣味のオブジェ、巨大な壁のようなホテル、無限に続くショッピングセンター…
・各ブランドの本社ではこんな議論がなされたのではないか。「マカオ?またマカオに店を出すのか。この前出したばかりだろう。それもこの前の店の目と鼻の先じゃないか。一体全体、何店出すつもりなんだ。え?さらにまた新たなショッピングセンターが?そこにも出す?ちょっと待て。。。」
・間違いなく世界一の同じブランドの店舗の密集地じゃないかな
・もしくは、違う経営主体が運営しているのだろうか。そんなこと許されない気がするけど、中国だしな…


・吹き抜けすぎているカジノを誇るSands、永遠に続く回廊のようなベネチアン、最も異次元だったGalaxy
・カルチャーセンターの中にあった現地の人で満員の中華料理屋、Galaxyの中華料理屋は英語が通じない
・世界で一番長いエスカレーター、骨董通りのハリウッドロードと生演奏のブルーブッチャー、煙たい文武廟
・やっぱり大きなベッドは気持ちが良いという真理、リンゴをかじる、屋上のジャグジー、バーからの夜景
・時代は変わっても、味は変わらない

風は人間のために吹いているのではない

今、原研哉さんの『デザインのめざめ』という本を読んでいる。
薄くて軽くて文字が少ないセンスのいい本が読みたくて、ふらっと立ち寄った書店で手にとった。


もうちょっと読み応えがほしいな、と思うくらいに軽やかで、つかみどころがない。
でも「ほう」とか「へえ」とか「なるほど」とけっこう思わされるし、「はっ」とさせられることも何度かあった。


物足りないけど、いい本だ。
物足りないのが、いいのかも知れない。自分の頭で考えるきっかけになるから。


いつまでも出口が見えない仕事に疲れた日曜の夕方にページを繰ってみたら、こんな言葉を見つけた。

自然は強靭で、風は人間のために吹いているのではない。

アマゾンの濃密な自然のただ中で感じた、恐怖の影についての言葉。


「おお」と思った。


ちょうど昨日の夜に読んでいた漫画のキャッチコピーみたいな言葉だったから。
『星を継ぐもの』っていう名作SF小説の漫画化作品なんだけど、物語の核になるのが「風」なのだ。


強すぎる、あまりにも過酷な「風」の存在という仮説が、人類の進化、恐竜の謎、様々な物事を結びつける鍵となって物語が展開する。


(これは文句なく面白かった。4冊で終わり、というのもイイ。
前に観た『プロメテウス』って映画なんて、この小説の着想を間借りしたな、と思った。
映画は、どうしようもなく、つまらなかったけど。)


こういう偶然に何かと何かが繋がる瞬間が、とても好きだ。
別にそれで何かが起きる訳ではないんだけど。


最後にひとつ。
今日Twitter星野道夫さんの『旅をする木』の一節に出会った。

いつか、ある人にこんなことを 聞かれたことがあるんだ。
たとえば、 こんな星空や泣けてくるような夕陽を 一人でみていたとするだろう。
もし愛する人がいたら、その美しさや そのときの気持ちを どんなふうに伝えるかって?
写真を撮るか、 もし絵がうまかったらキャンバスに 描いて見せるか、 いや、やっぱり言葉で伝えたらいいのかな。
その人はこう言ったんだ。
自分が変わってゆくことだって・・・・・
その夕陽を見て、 感動して、 自分が変わってゆくことだって。

ラファエル前派によるユートピア、または前原光榮と遠藤利三郎の邂逅

さいきん気になっているもの一覧。


気になるホテル
5 Star Luxury Hotel & Spa New York: Tribeca, SoHo, Downtown Manhattan | The Greenwich Hotel
SO/ Berlin Das Stue
前者はロバート・デ・ニーロがオーナーで、とても評判が良い。
後者はとにかくおしゃれ。Ace Hotelのヨーロッパ版って感じ。


気になる香水(というかケース)
エルメス エルメッセンス,Hermessence
こんなケースに入った香水は持ち歩きたくなりそう。


気になる傘
昭和23年創業 前原光榮商店<公式サイト>
名前がかっこいい。1948年創業。何気に二万円前後で買えてしまう。


気になるレストラン
WINE 遠藤利三郎商店
ワインバーって感じかな。この前神泉に新店がオープンしたばかり。


気になるイベント
東京ステーションギャラリー - TOKYO STATION GALLERY -
- ラファエル前派
スラムダンク・バガボンドの井上雄彦×建築家ガウディの展覧会開催決定 | ART&CULTURE | FASHION HEADLINE
最初のはプライベート・ユートピアっていう展覧会の名前と、
あとライアン・ガンダーさんの《四代目エガートン男爵の16枚の羽毛がついた極楽鳥》ってのが気になってる。
真ん中のは広告のコピーがかっこよくて行きたいと思ってる。
最後のは7月からだけど、最高に楽しみ。


気になるニュース(というか宣伝)
文科省が給付型奨学金制度を2014年度創設、民間企業と連携して海外留学促進へ | リセマム
プロジェクト・オフィサー(って何だ)として関わってるプロジェクト。
文部科学省初の官民協働プロジェクトで予想外に大変だけど、いろんな人を巻き込みまくっている。
え、巻き込んでよ、興味ある、って人は連絡下さい。

uniqueness + impact + magic

伊藤穰一さんの日本記者クラブでの講演。


断片的にはかなりの数の動画や記事があるけど、ここまでまとまった講演記録は珍しいかも。
よくしてる話が多いので目新しくはないけど、一連の流れで聞くとまた味わい深い気もする。
プレゼンが40分くらい、質疑応答が20分くらいの長い動画だけど、もっと聞いていたいなあと思える。


プレゼンに出てくる、有名なメディアラボの指針。

UNIQUENESS: 世界でここだけでしか行えない研究以外はやるな
IMPACT: 研究で終わらせずリアル・ワールドにきっちり影響を与えよう
MAGIC: そこに驚きとワクワクと感動がなければ意味がない

壁に貼っておこうかな。


最近この本 Amazon CAPTCHA を読んでいるんだけど、やっぱり最高にワクワクする。
ミーハー的には、MIT Media LabはIDEOと同じかそれ以上にクールな場所だ。


著者のフランク・モスさんのWIREDの記事。
フランク・モス:手と頭を使って失敗を繰り返し続けること。そこにしか未来はない|WIRED.jp
MITの校訓は、Mens et Manus (頭と手)なんだって。MITらしくていいよね。


そういえば、MITメディアラボといえばanti-disciplinaryな研究で有名だけど、Twiterで見つけたこの写真がどうにも可笑しみ深くてお気に入り。

ハゲとヒゲと椅子

Remember in kindergarten when you belted out a song without thinking twice about it? Or when you painted a picture of your family, not caring what others would think?


Tom and David Kelleyのコトバ。
without thinking twice about it. not caring what others would think.
たしかに、そんな時代があったような気がする。いや、今でもそういう瞬間はある、ような。

All of us were confident in our creative ability once. (Yes, even you!) We used our imagination to play and tinker and express ourselves without a trace of fear or shame. It was only as we got older that we learned to check ourselves.


without a trace of fear or shame.


兄弟が並んで喋ってて、なんだか微笑ましい。

Introducing OpenIDEO's Creative Confidence Challenge from IDEO on Vimeo.


彼らの新刊、 Creative Confidence by Tom & David Kelley は予約してある。
a trace of fear or shameを消すことが出来るだろうか。


出来る。でも、かなりの決意がいる。そんなことを語りかける本があるみたい。
146夜『椅子がこわい』夏樹静子|松岡正剛の千夜千冊
読んでないんだけど、松岡正剛さんの文章によれば、この本には「思い込み」がいかに強いか(そして、それがどれだけ実際の影響を及ぼすか)が書いてある。


「意識」が、死に囚われてしまうほどの激痛をもたらす。どんな治療法でも治癒することの出来ない病を引き起こす。


一方で、それを変えることも出来る。


潜在意識がつくりだした痛み。
その意識の母体となっている「夏樹静子」(作家としての自我、とでも言えばいいのかな)と、決別する。捨てる。殺す。

その直後である。激痛が去る。嘘のように消えたのである。


そのことに、本人もびっくりしてる。

このことはいまなお著者自身が信じられないことであるという。それはそうだろう、あれほどの物理的な痛みがただの自分がつくりだした心の問題であったということなど、とうてい信じられはしまい。


でも、何より心に残るのはそこに記された人々の言葉だ。

「ただし、どんな世界がひらけてくるか、これはわかりませんよ。だから本当に引退を賭けるつもりで闘いなさい」
河合隼雄さん)

「元気になれるなら、といった取引はありえない。無条件で夏樹をどうするか、自分なりの結論が出たら私に話して下さい」
「では私の結論を言います。夏樹静子を捨てなさい。葬式を出しなさい」
心療内科の平木英人先生)


そこまでの決意がいるのか… とおののきつつ、自分のCreative Confidenceが決定的に萎縮し凝り固まっていないことを祈りながら、まずは本の到着を待つことにしよう。

Courage is only the accumulation of small steps.

最高にワクワクするニュースがふたつ。


YC Will Now Fund Nonprofits Too
http://ycombinator.com/np.html


ついにY CombinatorがNPOに出資を開始。
プログラムにWatsi | Building technology to finance universal healthcareを迎えたのはトライアルだったんだなあ。
あくまで投資ではなく、寄付としてファンディングするとのこと。


San Francisco's New Program Enlists Startups To Tackle City Problems
http://thenextweb.com/insider/2013/09/06/san-francisco-launches-entrepreneur-in-residence-program-to-get-startups-to-help-solve-city-problems/


SF市が都市の課題を解決するために、"Entrepreneur In Residence"(アントレプレナー・イン・レジデンス。客員起業家制度と訳すみたい。大学の客員研究員みたいな感じで、企業やその他の組織に起業家がパートタイムで在籍する仕組み)プログラムを開始。
NY市もかなり前にChief Digital OfficerとしてRachel Sterne Haot(この人がまた美人なんだよなあ)が着任して、http://www.nyc.gov/html/digital/html/home/home.shtmlって取り組みを進めてる。
NY市は、もちろんブルームバーグ市長がリードしているのも大きいけど、NYC Digitalとかhttp://wearemadeinny.com/みたいな取り組みの積み重ねが大きなインパクトに繋がってる感じがする。



今は、日本の大企業がスタートアップと上手く組むための活動をコツコツと続けている。
間もなく、しばらく考えてきたこのテーマへのひとつの回答がカタチになりそう。


一方で、マーケットでは解決出来ない問題と取っ組み合うNPOや行政こそ、もっとデジタルテクノロジーを活用すべきだし、ネットの力を本気で取り込むべきだと思う。
いつかこのテーマを自分が引っ張れるよう、イノベーティブでもスケーラブルでもない自分の遅い歩みを続けよう。

長い長い20世紀の終わり

さいきんTwitterで出会った、お気に入りのつぶやき5選。